高分子化學
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ポジトロン寿命測定による固相重合の研究
メタクリル酸メチル
伊藤 泰男有田 哲夫田畑 米穂
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1971 年 28 巻 311 号 p. 254-259

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抄録

ポジトロン寿命測定を有機物性の研究に応用する試みの一環として, メタクリル酸メチル (MMA) に少量のPMMAを溶解させた系の-78℃での放射線固相重合の過程で, ポジトロン寿命測定を行なった. 1% PMMA-MMAの系では, MMA単独の系より重合が速くなるが, 両者とも類似した傾向をもっている. 5% PMMAの系では, 重合の様子は異なっており, 誘導期・加速期の区別がなく, 生成ポリマーの鎖も短い.
ポジトロン寿命測定の結果から, ポリマーを溶解させることによって結晶が乱れること, 5%PMMA-MMAの系では結晶は最も乱れているが, 逆に転化率の大きいところでは結晶粒はそれほど破壊されないため, 重合の加速現象はみられないことなどが示唆された.

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