1970 年 27 巻 304 号 p. 562-568
熱酸化によるポリヘキサメチレンアジパミド繊維の機械的性質の劣化と示差熱分析, 紫外部吸収スペクトル, 酸素吸収および分子量の変化との間の相関関係について検討した。その結果, DTA曲線における240℃付近の熱酸化による発熱ピークの高さと繊維の強度保持率との間には明らかに相関関係があることがわかった。また60%硫酸に溶解した繊維の290mμでの紫外部吸収スペクトルから求めた光学濃度と繊維の強度保持率との間にも明らかな相関関係が認められた。したがってこれらは, ポリアミド繊維の熱酸化における劣化度の測定に十分利用でき, しかもポリアミド繊維の安定剤による安定化効果を評価する場合のすぐれた測定法として用いることができることを示した。