1970 年 27 巻 304 号 p. 549-553
種々の金属硝酸塩を用いて主としてアセトン中100℃でメチルメタクリレートの重合および他のモノマーとの共重合を行なった。種の金属硝酸塩はメチルメタクリレートに対して顕著な重合活性を示し, 特にIIb族 (Zn, Cd, Hg) の硝酸塩に著しい重合活性が見られた。亜鉛あるいはカドミウムについてそれらのハロゲン化物あるいは過塩素酸塩を用いメチルメタクリレートの重合を試みたが, 重合活性を示さなかった。Cd (NO3) 2・4H2Oによる重合の動力学的検討では初速度が触媒濃度の1/2乗に比例した。さらに1, 1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル (DPPH) の添加では重合は完全に禁止され, またアクリロニトリルあるいはスチレンとの共重合ではラジカル重合の場合の組成曲線と類似する曲線が得られた。またポリメチルメタクリレート中にNO3基が認められることなどからモノマーと硝酸塩の間の反応を含む特異な開始によるラジカル機構を推論した。