高分子化學
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アイソタクチックポリプロピレン溶融物の低ずり速度領域におけるずり流動特性と定常流動停止後の応力緩和
上出 健二渡部 武
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1969 年 26 巻 291 号 p. 498-510

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抄録

円錐-円板型回転粘度計を利用して, 低ずり速度領域 (ずり速度γ=2.72×10-2~2.08×10sec-1) におけるアイノタクチックポリプロピレン溶融物 (250℃) のずり流動特性と, 定常ずり流動停止直後の応力緩和を測定した。試料として分子量範囲6.2×104~3.96×105の分別区分6種と未分別物1種を利用した。溶融物にずり変形を付加してから比較的短時間のうちは, 場合によっては定常状態におけるずり応力よりも大きなずり応力が発生する。非定常状態におけるずり応力の最大値は, 試料の分子量が大きくかつずり速度が大きいほど大きい。定常状態に達するに要する時間も試料の分子量とずり速度によって著しく影響される。この結果, 毛細管流動の場合でも見かけの粘度に及ぼす非定常流動の寄与が無視できないことが予想された。ニュートン流動から非ニュートン流動に転移するときのずり速度は分子量にほぼ反比例する。ニュートン粘度と分子量との間にはいわゆる3.5乗則が近似的に成立する。定常流停止直後の応力緩和は非線形的である。緩和の速度は分子量が小さいほど, ずり速度が大きいほど大きい。非線形応力緩和の主原因は非フック弾性である。

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