1967 年 24 巻 263 号 p. 224-229
ポリビニルアルコール (PVA) 単結晶をいろいろの方法で破壊し, その破壊状態を電子顕微鏡およびX線回折により観察した。乳ばちを用いてすりつぶしたり, 超音波を照射するとPVA単結晶は容易に破壊される。すりつぶした単結晶ではX線反射の半価幅は増大し, コンゴーレッドやヨードの吸着量が増加する。超音波照射では単結晶の長い辺に直角に割れやすく, 割れ目にはフィブリルが見られる。PVAフィルム上で延伸すると延伸方向に直角の割れ目とひだの方向にそった割れ目とを生じる。カーボン支持膜上でカーボンを引き裂くことにより破壊すると, いろいろの方向に割れた結晶が見られる。平行四辺形の長い辺または短い辺の近くでその辺に直角に近い割れ目の場合にフィブリルが形成され, ほぼ平行に割れると, フィブリルが現われない。