1959 年 16 巻 172 号 p. 519-522
トリエチルホウ素(B(C2H5)3)を触媒とする酢酸ビニル (VAc) の重合を調べた。B (C2H5) 3は非常に酸化されやすいために重合実験の際にも再現性が悪いが, 反面非常に強い触媒活性を示す。少量の水, メタノールの添加は重合を促進する。高触媒濃度において生成ポリマーの重合度が急激に低下することより触媒による連鎖移動を想定し, ポリビニルアルコール (PVA) の末端カルボキシル基の定量からこれを確かめた。酸素の存在下ではB (C2H5)3は特に強い触媒活性を示し, -78℃ にてもVAcの重合が円滑に進行する。ボリ酢酸ビニル (PVAc) をケン化して得られたPVAの性質についても検討し, 普通のラジカル重合のものとの相違は認められなかった。