高分子化學
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ポリビニルアルコールに関する研究
第5報ポリゼニルアルコール (PVA) とその部分酢化物の赤外線吸牧スペクトル
長井 栄一相根 典男
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1955 年 12 巻 121 号 p. 195-199

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抄録

要旨食塩プリズム領域に出現するPVAのバンドについて, 熱処理と部分ホルマール化を行うことによって, その帰属をある程度明らかにしえた。部分鹸化と再酢化との二方法によって種々なる程度に酢酸基を含有せしめた両種試料について, そのO-HおよびC=Oの伸縮振動の位置の移動を測定した。部分鹸化試料では17%(モル) の酢酸基の残留によってポリ酢酸ビニルと同一の5.77μ (1732cm-1) のC=O振動をしめし, O-H振動は完全鹸化試料と同一の3.04μ (3290cm-1) である。一方, 再酢化試料では85%の酢酸基の導入によっても5.80μ (1723cm-1) をあたえるに止まり, しかも, O-H振動は2.889 (3470cm-1) に移動している。両種試料のかかる相違は酢酸基の分子中における分布の違いによると考えられる。すなわち前者では比較的連続して残留し, 後者では孤立的に導入せられているために, O-H基と酢酸基のC=Oとの水素結合が後者の方がより多く形成せられるからである。

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