2006 年 63 巻 9 号 p. 593-600
気相法カーボンナノファイバー (VGCF) の種々の樹脂への補強効果を検討した. その結果, 結晶性ポリマーであるナイロン6 (NY6) はVGCFの添加量がわずか0.1wt%で弾性率が1.5倍, 降伏応力が1.6倍になった. またポリプロピレン (PP) やポリエチレンテレフタレート (PET) でも補強効果が見られた. 一方, 非晶性ポリマーであるポリスチレン (PS), ポリカーボネート (PC) では微量のVGCFを添加しても補強効果は見られなかった. VGCFの樹脂への補強メカニズムを探るための最適な複合則について検討した結果, VGCFの弾性率が500GPaと仮定すると繊維/マトリックス直列モデル相とマトリックス単独相からなる並列モデルが最も実験結果とよく一致した. この結果は今後のVGCF強化複合材料の設計に非常に重要である. またVGCFの分散性を降伏応力から評価したところ, 超音波分散とメカニカル混合の組合せが一番よかった.