高分子論文集
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一般論文
主鎖中にエーテル基を有するアラミドフィルムの延伸と熱処理
平井 幹末永 攻治新谷 淳一
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2006 年 63 巻 9 号 p. 586-592

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抄録

ジアミン成分2-クロロ-5-メチル-1,4-フェニレンジアミンとジカルボン酸成分4,4'-ジクロロホルミルジフェニルエーテルから低温溶液重縮合法によりアラミドを合成した. 得られたアラミドの対数粘度は1.77dL/g (硫酸中, 濃度0.5%, 25℃) であった. このアラミドのキャストフィルムの引張特性向上のため, フィルムをN,N'-ジメチルアセトアミド (DMA) /水 (80 : 20, v/v) 中, 液温50℃で延伸 (膨潤延伸) した. さらに, この延伸フィルムを窒素気流中, 張力下, 昇温で熱処理を行ったところ, 強度, 伸度, 弾性率の値が各々1.2GPa, 13.9%, 15GPaを示すフィルムが得られた. この処理フィルムを空気中, 300℃, 2時間, 無緊張下と一定長下の条件で熱酸化劣化試験を行った. この試験で前者の値は強度0.82GPa, 伸度6.59%, 弾性率11GPaを, 後者の値は強度1.1GPa, 伸度13.7%, 弾性率15GPaの値を示した. これらの結果からこのアラミドフィルムは耐熱性もあり, 熱酸化劣化処理後でも延伸-熱処理効果の存在が示された.

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© 2006 公益社団法人 高分子学会
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