高分子論文集
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AB2型グラフト共重合体の調製とその平衡凝集構造
松下 裕秀高野 敦志鳥飼 直也渡部 淳吉田 祐馬百瀬 陽鈴木 次郎
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2000 年 57 巻 12 号 p. 803-809

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抄録

A鎖の末端から長さの等しいB鎖が分岐したAB2型のグラフト共重合体を調製し, そのバルク状態の平衡モルホロジーを観察した. A, B成分はポリスチレン (S), ポリ (2-ビニルピリジン) (P) である SとPの長さの比, すなわち体積分率が変化するにつれ, AB型のブロック共重合体と類似したミクロ相分離構造が出現したが, グラフト共重合体の非対称な分子構造を反映して, モルホロジー転移する組成はブロック共重合体よりSの体積分率が高い方にずれることがわかった. またSP2が作るミクロドメインの繰返し周期は同じ分子量をもつSPのものより定量的に小さいことも確かめられた. そこでS鎖の拡がりを中性子散乱で測定したところ, 分子鎖のひずみはブロック共重合体の場合より小さいことが判明し, ミクロドメイン構造が分子レベルで解かれた.

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