1993 年 50 巻 1 号 p. 27-34
耐衝撃性ポリプロピレン (通称エチレン・プロピレンブロック共重合体) にエチレンプロピレンゴム (EPR) 20~30wt%がブレンドされた材料の高次組織において, その物性を支配するマトリック相を形成しているエラストマー相に, ハードセグメントを導入することによって, この材料の高性能化を試みた。具体的には, エラストマー中に結晶をミクロ分散させ, IPN的構造を形成させるために, EPR相に一次構造を変化させ生成する結晶の形態を制御したエチレン系共重合体を添加した. その結果, 硬度, 曲げ弾性率の特性に飛躍的な向上がみられた. そのメカニズムとして添加されたエチレン系共重合体の結晶ラメラによる役割が, 力学モデルおよび有限要素法を用いた解析結果から裏付けられた. また, 動的な硬度の測定を行い, その挙動とパルスNMRにより測定された結晶相, 非晶相, 中間相の分率との関連を検討した.