高分子論文集
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ポリ塩化ビニルの熱安定化に対するポリアクリル酸エステルと複合系金属石けんとの相乗効果
飯田 健郎池田 公久河村 茂治後藤 邦夫
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1988 年 45 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

ポリ塩化ビニルの熱安定化に対する, ステアリン酸亜鉛/ステアリン酸カルシウム複合石けんとポリアクリル酸類との相乗効果を色解析により, 検討した. ポリアクリル酸ナトリウム; ポリアクリル酸メチル; ポリアクリル酸エチルとポリアクリル酸メチル及びポリメタアクリル酸メチルの部分ケン化物は良好な相乗効果を示したが. ポリアクリル酸; ポりアクリル酸ブチル; ポリアクリル酸2-エチルヘキシル及びポリメタアクリル酸メチルは顕著な効果を示さなかった. ポリアクリル酸エステルは, 側鎖の炭素数の減少とともに, PVCに対する相溶性が良好となり, また, 相乗効果も顕著となった. 複合系金属石けんと良好な相乗効果を示した系中には, Zn-O結合の生成が認められた. したがって, ポリアクリル酸類と複合系金属石けんとの相乗効果は, 高分子量安定化助剤による, ジンクバーニングの発生原因である過剰に生成した塩化亜鉛の捕捉に墓づいていると判明した.

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