高分子論文集
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変性コラーゲンとコンドロイチン硫酸Cとのブレンド膜の構造
奈倉 正宣橋本 浩二石川 博
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1984 年 41 巻 8 号 p. 473-479

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抄録

生体内に存在する結合組織のモデル物質として, トロポコラーゲンを熱変性させて得たゼラチンとムコ多糖の一つであるコンドロイチン硫酸C (CSC) とのブレンド物を作製し, 混合時の溶液状態と生成した膜状物中でのゼラチンとCSCとの相互作用について検討した. ゼラチンとCSCとの混合溶液の状態は, pHによりA) 白色凝集物を形成するpH<3.0, B) 繊維状凝集物を形成する3.0<pH<5. 2, C) 透明溶液となるpH>5.2の三つの領域に分けられる. 白色凝集物と繊維状凝集物中に含むことのできるCSC量はゼラチン1に対し, それぞれ最大0.5と0.3である. この相違はpHに依存した溶液中でのゼラチン分子の形態の相違によると考えられた. 白色凝集物と透明溶液のうちでCSC混合量の少ない物から得たキャストフィルムとは, 水中への溶解の際, 再生したヘリックスの溶解とは独立に高温で溶解する部分があることをみいだし, これはゼラチンとCSCとの相互作用領域と考えられた.

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