高分子論文集
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ポリカーボネート多孔膜の気体透過性に及ぼす膜の平均孔径の影響
能美 隆真鍋 征一上出 健二河合 徹
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1977 年 34 巻 10 号 p. 737-745

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抄録

4次の平均孔径 (r4) が0.325, 0.183, 0.0984μmである円筒状貫通孔を持つ3種のポリカーポネート製多孔膜の気体の透過係数P (P1, P2) に及ぼす平均孔径の影響を検討した. ここで, P1, P2は多孔膜に負荷された圧力であり, P1P2である. その結果, (1) P (P1, P2) のP1, P2依存性は孔径分布関数N (r) を考慮すれば, スリッブ流れを含む粘性流れと自由分子流れとの組合せで説明できる, (2) r4が小さくなると, P (P1, P2) 中に占める自由分子流れの比率が増大する, (3) P (P1, P2) はP1, P2のそれぞれに依存して変動する, (4) P (P1, P2) はP2と共に増加する. これらの実験事実は, 前報で提出したP (P1, P2) の理論式で説明される. r4P1における気体分子の平均自由行程にくらべて小さい場合, 酸素のP2→0の時のP (P1, P2) (≡P (P1, 0)) の方が二酸化炭素のそれよりも大きい. 両者のP (P1, 0) の大小関係はr4P1とによって変動する. ヘリウムと窒素との混合気体は多孔膜により実際に成分気体へ分離された.

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© 社団法人 高分子学会
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