2016 年 73 巻 6 号 p. 570-574
本研究ではでんぷん(アミロース)をエステル化する方法として,水を溶媒として用い,環境負荷の少ない変換法であるショッテンバウマン反応を選択し検討を行った.まず,アミロースを飽和Na2CO3水溶液中で塩化ベンゾイルと反応を行ったところ,目的のベンゾイル化が進行し,得られた生成物を 1H NMR,13C NMR,IR,MALDI測定により詳細な同定を行った.また,アミロースは同様の反応条件にてシンナモイル化およびp-tブチルベンゾイル化が進行し,他の多糖類であるペクチンのベンゾイル化,シンナモイル化も進行することが明らかとなった.以上より,本手法は水溶性多糖類のエステル化反応として広く利用できることが明らかとなった.