高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
原著論文
オゾンマイクロバブルによるポリエステル繊維の表面改質
宮田 利彰武野 明義三島 佑太高橋 紳矢
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 73 巻 4 号 p. 341-346

詳細
抄録

気泡径50 µm以下のオゾンマイクロバブル(OMB)は,精練や漂白などさまざまな産業利用が検討されている.しかし,処理時間の短縮が課題である.本研究では,多孔フィルムから発生させたOMBにより,ポリエステル布帛の表面改質効率の向上を試みた.高溶存オゾン濃度水を得るためには,低水温に加え多孔フィルムに供給するオゾンガス濃度の向上が必要であった.表面改質効果をX線光電子分光法とカチオン染色性(K/S)により評価した.高い溶存オゾン濃度と高い反応温度の時,ポリエステル布帛の改質効果が高くなった.溶存オゾン濃度と反応温度を両立して高める必要があるが,水温が高い場合にはオゾンが分解してしまう.また,染色性と水温の関係から見かけの活性化エネルギーを算出すると,溶存オゾン濃度によらず一定となった.以上より,低水温により高い溶存オゾン濃度を維持しながら,布帛表面のみ局所的に加熱することで処理時間の大幅な短縮が見込めることがわかった.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 高分子学会
次の記事
feedback
Top