医療上きわめて重要な抗菌薬(CIA)は慎重な使用が必要であるが,愛玩動物における使用実態は未だ不明な点が多い.そこで,2022年4~6月に岐阜県内動物病院の犬猫に対して使用された主要CIAの剤型,成分及び対象疾患を調査した.主要CIAは調査期間内の1,209症例で使用され,内訳はフルオロキノロン(FQ)系薬734症例,第3世代セファロスポリン(CEP)系薬467症例,カルバペネム系薬8症例であった.FQ系薬と第3世代CEP系薬の両者ともに犬よりも猫で有意に注射剤の使用割合が高かった.この2剤は動物種に関わらず皮膚/耳疾患に多く使用される傾向にあったが,その他疾患への使用状況は動物種により異なった.以上から,愛玩動物におけるCIAの慎重使用を推進するには,動物種,剤型及び好発疾患の特徴に応じた対策が必要である.