日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
頸部皮下の肥満細胞腫並びにその血管内浸潤がみられたヨツユビハリネズミの1例
中山 大輔寸田 祐嗣森田 剛仁
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2021 年 74 巻 2 号 p. 137-140

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抄録

飼育されていたヨツユビハリネズミ(Atelerix albiventris),雌,6歳齢に頸部皮下腫瘤が認められ,死亡後に腫瘤を含む複数組織を病理組織学的に検索した.腫瘤は独立円形細胞の腫瘍性増殖によって構成されており,これら細胞は大小不同の類円形核を有し,一部で弱好塩基性の細胞質内顆粒を有していた.同細胞質内顆粒はトルイジンブルー染色においてメタクロマジーを示した.また免疫組織化学的染色により腫瘍細胞の細胞質及び細胞膜はKIT(CD117)に陽性を示した.以上の病理組織学的所見から,本腫瘤を肥満細胞腫と診断した.頸部皮下以外に転移病巣は確認されなかった.多数の肥満細胞が肝臓並びに子宮の血管内に頻繁に観察され,腫瘍性肥満細胞の末梢循環が示唆された.

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