2019 年 72 巻 3 号 p. 154-156
交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種)の雄子牛が,出生後から慢性進行性の歩様異常,起立難渋,起立位での体躯動揺及び揺開脚姿勢を呈した.68日齢時には意識清明であったが,自力起立ができなかった.企図振戦はみられなかったが,臨床症状より小脳の異常を疑った.病理解剖では中枢神経系に明らかな異常は認められなかったが,病理組織学検査において小脳でプルキンエ細胞の変性・脱落,及び軸索腫大が認められ,小脳皮質変性症と診断された.牛の小脳皮質変性症は遺伝的背景が疑われる疾患であるが,今回の症例は交雑種であり,本症が特定品種だけの疾患ではないことが示唆された.