2018 年 71 巻 9 号 p. 493-496
2016年12月,岐阜県内黒毛和種繁殖農場で繁殖雌牛2頭が連続して死亡した.いずれの牛も可視粘膜蒼白,歩様蹌踉を呈していた.2頭目の牛の生前血液検査では,著しい貧血と低アルブミン血症が確認された.この牛を剖検したところ,第4胃内から大量の牛捻転胃虫Mecistocirrus digitatus が検出された.回収された虫体は,ほとんどが未成熟な第5期幼虫で,胃内容に含まれる虫卵は平均3.0/gであり,剖検をしていなければ,死因を牛捻転胃虫と特定できなかった.1例目の牛も,臨床所見から同様に牛捻転胃虫による失血死と考えられた.