日本農芸化学会誌
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酵素分解大豆リゾリン脂質の澱粉複合体形成能
山下 政続足立 秀哉徳力 尚美
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2000 年 74 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

酵素分解大豆リゾリン脂質および穀物種子中の澱粉層に含まれる脂質のモノアシル化合物は,澱粉と容易に複合体を形成し,その複合体形成能は,脂肪酸の種類に関係なく複合体を形成することが判明した.
(1)酵素分解大豆リゾリン脂質やLPC-C18:0, LPC-C18:1, LPC18:2などのリゾホスファチジルコリンおよびLPA-Cl8:0, LPA-C18:1などのリゾホスファチジン酸は,アミロースおよび澱粉と複合体をよく複合体を形成した.
(2) Na-C18:0, Na-C18:1, t-Na-C18:1, Na-C18:2, Na-C18:3などの脂肪酸ナトリウムは,アミロースおよび澱粉と複合体をよく複合体を形成した.
(3) MG-C18:0, MG-C18:1, MG-C18:2などの脂肪酸モノグリセリドは,アミロースおよび澱粉と複合体をよく複合体を形成した.
(4) DSC, TG/DTA, IRのデータから酵素分解大豆リゾリン脂質(SLPL-99)がアミロースと複合体を形成することが確認された.
(5)アミログラフにおいて酵素分解大豆リゾリン脂質は,リゾリン脂質の含量が高いほど小麦粉澱粉の糊化温度と粘度を上昇させた.
(6)大豆ホスファチジルコリン(S-PC),水素添加大豆ホスファチジルコリン(SH-PC),および大豆リン脂質(SPL-7)は,アミロースおよび澱粉と複合体をほとんど形成しなかった.
本研究において澱粉と脂質の複合体形成に関しご教示を賜わりました鹿児島大学農学部の北原兼文助教授に感謝いたします.

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