1977 年 51 巻 9 号 p. 531-534
ビワ中果皮可溶性画分から部分精製して得られたシアン化物代謝活性pI 11画分を用いてCN-の代謝をしらべ次の知見を得た.
(1) [14C]-NaCNを基質に用いた場合,ペーパークロマトグラフィーで反応生成物をしらベると[14C]-ギ酸と[14C]-ホルムアミドの位置にピークが認められた.両ピークとも非放射性ホルムアミドで希釈された.
(2) [14C]-HCONH2を基質に用いた場合,反応生成物として[14C]-ギ酸のほかに構造式未確認の物質Xが生成していることが判明した.[14C]-ギ酸と[14C]-Xめ生成の経時変化をみるとXが先に生成し,生成したXが減少するにしたがいギ酸が生成した.また非放射性ホルムアルドキシムでギ酸の生成が希釈されたので,Xはホルムアルドキシムであろうと推定した.
(3) 以上の結果から,ビワ中果皮でCN-→HCO. NH2→(HC=NOH) H2O→HCOOH+NH3の代謝系が存在することが推定された.