日本農芸化学会誌
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花粉のショ糖合成酵素とインべルターゼの性質
中村 紀雄新井 勇治岩波 洋造
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1975 年 49 巻 9 号 p. 469-474

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抄録

10種類の完熟花粉を用いて,ショ糖代謝に関与する酵素のうち,とくにショ糖合成酵素とイソベルターゼの諸性質について検討をおこなった.
1) ショ糖合成酵素は,ホウセンカ花粉以外のすべての花粉にその活性が認められ,至適pHはpH 8.0~8.5,至適温度は55~60°Cであった.金属イオンのMn2+, Ca2+, Mg2+によりその活性が促進され, Zn2+, Cu2+, Co2+により抑制された.
2) インベルターゼの活性はすべての花粉において認められ,その至適pHはpH 4.0~7.1の間にみられ,かつ酵素起源により違いがみられた.至適温度は35~45°Cにあり, Mn2+による活性の抑制がみられた.
3) ショ糖合成酵素とインベルターゼのKm値を, Lineweaver-Burkプロット法により求めたが,とくにショ糖合成酵棄の場合,フラクトースに対するKm値が著しく高かった.
4) ショ糖リン酸合成酵素は,ホウセンカ花粉以外のすべての花粉に存在したが,その活性が低く,酵素の性質については検討をおこなわなかった.

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