日本農芸化学会誌
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Corynebacterium glutamicumのリジン要求株M-14によるL-イソロイシン生成と若干の前駆物質およびアミノ酸の効果
荻野 浩志加瀬 広中山 清
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1974 年 48 巻 5 号 p. 285-290

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抄録

Corynebacterium gdutamicumのリジン要求株M-14を用いて,L-イソロイシンの生成蓄積につき調べた.この菌株のL-イソロイシソの生成は,要求物質であるL-リジンの濃度に依存し,L-リジン高濃度の存在ではその生成は阻害され,低濃度(10~20μg/ml)の存在で最大となった.その生成量は,合成培地で2.0mg/ml程度であった.L-イソロイシン生合成経路に関連した諸アミノ酸添加のL-イソロイシン生成への影響をみたところこれらのアミノ酸の添加効果は培地中のL-リジンの濃度によって影響された.すなわち,L-イソロシン蓄積に不適当なL-リジン濃度100μg/mlでの培養では,L-ホモセリン,L-アスパラギン酸,L-スレオニンの添加によってL-イソロイシン生成の増加が認められた.L-リジン濃度10μg/mlでの培養ではL-メチオニン,L-スレオニンによるレイソロイシン蓄積の阻害が認められた.L-リジン濃度のいずれでも顕著であったことは,L-アスパラギン酸を添加した場合,L-アスパラギン酸の消費とともにL-パリンの蓄積が認められたことである.
DL-α-アミノ酪酸およびα-ハイドロキシ酪酸の添加は,L-イソロイシン生成を顕著に増加し,α-ハイドロキシ酪酸10mg/ml添加の場合,6.2mg/mlのL-イソロイシンが生成した.DL-α-アミノ酪酸の添加時に各アミノ酸の添加効果を調べたが,上の場合と同様の結果を得た.α-メチルアスパラギン酸添加によるL-イソロイシン生成の増加も認められた.炭化水素資化性細菌,酵母,放線菌のL-イソロイシン生成についても,α-アミノ酪酸,α-ハイドロキシ酪酸添加の効果が認められた.

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