日本農芸化学会誌
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清酒酵母とセルロースとの凝集におよぼす諸条件の影響について
菅野 信男秋山 裕一野白 喜久雄
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1973 年 47 巻 12 号 p. 771-777

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抄録

(1) 酵母と米の胚乳細胞壁との凝集は清酒酵母のみにみられる現象でなく, Saccharomyces cerevisiaeに属するその他の醸造酵母にも認められた.
(2) 凝集性清酒酵母とセルロースとの凝集には酵母のageが関係し,古くなるにつれて現われ, pH3.0~8.0の広い範囲で起こった.
(3) 凝集性清酒酵母細胞を陽イオン界面活性剤(CTAB)のpH7.0および8.0で,あるいは陰イオン界面活性剤(SLS)のpH3.0および4.0で処理したとき,また80°C以上の温度で15分間加熱したとき,この凝集は阻害された.
(4) 陰陽イオン,各種糖類および菌体の食塩水による洗浄に対して,凝集性清酒酵母とセルロースとの凝集は影響されなかったことから,清酒酵母と米の胚乳細胞壁との凝集はビール酵母の凝集の機構とは異なるものと考えられる.

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