日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
絹糸紡績原料の醗酵精練(第9報)
好気性および嫌気性両細菌のプロテイナーゼの精製とその協力作用
今原 広次中浜 敏雄
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 36 巻 4 号 p. 327-331

詳細
抄録

精練に有効なる好気性細菌SE-19,及び嫌気性細菌A-2の分泌するプロテイナーゼの分離精製を行い,
(1) 好気性細菌SE-19の分泌するプロテイナーゼは針状結晶であり,ゼラチン粘度降下単位で92.2unit/mg-N, Folin法の単位で3300tyrosin γ/mg-Nであり,最適pHは8.0,安定pH範囲は5~8であった.
(2) 嫌気性細菌A-2の分泌するプロテイナーゼは単斜晶系に属する結晶であり,ゼラチン粘度降下単位で68.7unit/mg-N, Folin法の単位で5400 tyrosin γ/mg-Nであり,最適pHは6.0,安定pH範囲は5~7であり,耐熱性は前者に比較してやや弱いようであった.
(3) 両種細菌より分泌されるプロテイナーゼがその協力作用によって基質ゼラチンを速かに,かつ強度に分解することは絹紡原料の共棲醗酵精練の優れた効果の原因の一つとして注目すべきことである.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top