1962 年 36 巻 4 号 p. 327-331
精練に有効なる好気性細菌SE-19,及び嫌気性細菌A-2の分泌するプロテイナーゼの分離精製を行い,
(1) 好気性細菌SE-19の分泌するプロテイナーゼは針状結晶であり,ゼラチン粘度降下単位で92.2unit/mg-N, Folin法の単位で3300tyrosin γ/mg-Nであり,最適pHは8.0,安定pH範囲は5~8であった.
(2) 嫌気性細菌A-2の分泌するプロテイナーゼは単斜晶系に属する結晶であり,ゼラチン粘度降下単位で68.7unit/mg-N, Folin法の単位で5400 tyrosin γ/mg-Nであり,最適pHは6.0,安定pH範囲は5~7であり,耐熱性は前者に比較してやや弱いようであった.
(3) 両種細菌より分泌されるプロテイナーゼがその協力作用によって基質ゼラチンを速かに,かつ強度に分解することは絹紡原料の共棲醗酵精練の優れた効果の原因の一つとして注目すべきことである.