化学と生物
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NMRによる生体高分子の解析手法の最近の進展
試験管から細胞内へ
杤尾 豪人猪股 晃介白川 昌宏
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2009 年 47 巻 9 号 p. 638-643

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抄録

NMRは,溶液中の生体高分子について,(1)立体構造を決定できる,(2)生体高分子の化学構造・立体構造の変化や相互作用を解析しうる,(3)フォールド・アンフォールド過程を含む分子内部の様々なタイムスケールでの運動性や安定性を定量的に解析できる,といった特徴をもつ.これらはすべてアミノ酸残基・原子レベルでの情報取得が基になっており,生体高分子の物理化学的性質や分子認識の解析のためのきわめて多能な測定法であるといえる.NMRによる立体構造解析の方法論は,成書(1) などを参照していただくとして,本稿前半では,溶液NMRによる生体高分子の物性解析法について最近の動向を概説し,後半部分では,筆者らが提案している細胞内タンパク質の直接解析法について紹介する.

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© 2009 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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