日本組織適合性学会誌
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総説
HLA領域のゲノムシークエングの完了とその意義
椎名 隆猪子 英俊
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2000 年 7 巻 2 号 p. 75-81

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抄録

主要組織遺伝子複合体 (Major Histocompatibility Complex=MHC) にコードされるMHC抗原は, 免疫誘導における自己-非自己の識別に関与し, 細菌やウイルスなどの外来抗原由来のペプチドと結合して, T細胞に抗原提示することにより, 抗体産生や細胞免疫を誘導する. すなわち, MHCクラスI抗原はキラーT細胞, クラスII抗原はヘルパーT細胞に抗原提示して, これらの各T細胞を活性化する役割をになう. このようにMHC抗原は, 自己たる身体に侵入して健康を脅かす非自己たる異物を識別し, これを駆逐する免疫応答の誘導に重要な働きをになう. ヒトのMHC(主要組織適合性複合体; Major Histocompatibility Complex)領域であるHLA(ヒト白血球抗原; Human Leukocyte Antigen)領域は, 免疫における自己-非自己の識別に関与することにより, 免疫応答の誘導に深く関わる白血球抗原をコードする多重遺伝子族からなる遺伝子領域である.

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© 2000 日本組織適合性学会
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