家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
凍結融解過程におけるウシ卵子のストロー内での封入位置と透明帯損傷との関係
中原 高士谷之木 精悟坊薗 正恒岩崎 英昭
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1990 年 36 巻 3 号 p. 184-187

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抄録

凍結融解過程におけるストロー内の牛卵子の封入位置と透明帯損傷の関係について検討した。垂直にしたストロー内では卵子の位置が綿栓上,液体の凹面,溶液中となるように吸入し,水平にしたストロー内では,卵子を中央のグリセロール液層内に吸入し,ストロー壁に付着するように設定した。
各ストローは,室温から-5°Cまで毎分1°Cの速度で冷却し,-5°Cで5分間保持後植氷を行ないさらに同温度で10分間保持したのち,毎分0.3°Cの速度で-30°Cまで冷却し,液体窒素中へ浸漬した。これらのストローを,+37°C温湯中に浸漬して融解し,卵子の透明帯損傷の割合を実体顕微鏡下で検査した。
ストローを垂直にしてウシ卵子を綿栓上,液体の凹面,溶液中に位置させて凍結融解した試験では,透明帯の損傷割合がそれぞれ42.6%(86/202),21.6%(22/102),22.0%(22/100)となり綿栓上で有意(P<0.01)に高かった。ストローを水平にしてウシ卵子を凍結融解した試験では透明帯損傷の割合が16.2%(44/271)となり,他の試験区に比べて低かった。しかし,液体の凹面,溶液中での透明帯損傷率との間に有意差(P<0.05)は認められなかった。

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