家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛の子宮分泌液に関する研究
VII.雌生殖器内における糖および糖アルコールの性周期に伴う消長
菅 徹行正木 淳二
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1973 年 19 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

健康な乳牛23頭,肉牛10頭から,合計33例の雌生殖器を摘出し,子宮液,頸管粘液,卵管洗浄液および卵管峡部,小丘領域,小丘間領域,頸管の各組織内におけるフラクトース,グルコース,ソルビトール,イノシトールの性周期に伴う消長をガスクロマトグラフィーによって分離定量した。得られた結果は次のとおりである。
1.子宮液中のフラクトース,グルコース,ソルビトール,イノシトールの成分は性周期に伴っていずれも共通した消長を示し,発情期と排卵後に低く,黄体初期に急上昇して,その高値は黄体末期まで保持された。発情期の値に対する黄体中期における増加倍率はフラクトース15,グルコース6,ソルビトール346,イノシトール18倍であった。また発情期にはグルコース,黄体期ではソルビトールが4成分中の主な成分であった。
2.頸管粘液中にもフラクトース,グルコース,ソルピトール,イノシトールが認められ,性周期に伴う消長は子宮液のものと一致したが,その濃度は性周期のいずれの時期においても子宮液中の値よりも低かった。組織材料にっいては,ソルビトールは黄体期の子宮内膜でのみ認められ,頸管組織内では検出されなかった。
3.卵管内では,イノシトールについて能動的分泌が認められた。しかしその他の糖質成分については明らかな結果が得られなかった。

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