家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
雌ラットの性成熟到来に関する研究PMS注射による排卵に及ぼすクロミヘンの影響
梅津 元昭
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1973 年 19 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

PMS注射による幼若雌ラットの排卵に対して,アンチ•エストロジェソであるクロミヘソが及ぼす影響について種々の検討を加えて以下の結果を得た。
1)25日令のラットを用い,3IUのPMS注射後12時間でクロミヘンの単一皮下注射を行ない,PMS注射後74時間で殺した時,体重100g当り500μgのクロミヘン投与では排卵を60%抑制し,1.25mg以上のクロミヘンでは100%抑制した。
2)PMS注射後種々の時間にクロミヘン5mg,500μgの2つの量を用い排卵への影響を調べたところ,クロミヘン5mg処理ではPMS注射後0時間および27~36時間の処理で60%以上の排卵抑制を示し,3~24時間の処理では100%の排卵の抑制を示し,39時間以後の処理では抑制効果はなかった。クロミヘン500μg処理では,3~24時間の処理で60%の排卵抑制を示し,0時間の処理および27時間以後の処理では排卵の抑制はみられなかった。
3)PMS注射後12時間に5mgのクロミヘン処理を行なったラットに,PMS注射後54時間にHCG 10IUを皮下注射したところ排卵の抑制は全くみられなかった。PMS注射後クロミヘン処理したものは, PMS処理後98時間で100%の排卵がみられた。
4)PMS注射後6時間でクロミヘン1mg処理のものは排卵は抑制されたが,PMS注射後3~6時間にエストラジオール0.5μgを投与することによりその抑制効果は打ち消された。
以上のことから,幼若雌ラットのPMSによる排卵に対して,エストロジェンのポジティブ•フィードバックが重要な役割を果していることがより明らかとなった。

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