家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛の受精卵移植に関する研究,特に非手術的方法による受精卵移植成功例について(速報)
杉江 佶相馬 正大沼 秀男
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1965 年 10 巻 4 号 p. 124-127

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抄録

性腺刺激ホルモン(PMSおよびHCG)の注射により過剰排卵誘起処置をほどこした2頭のホルスタイン種未経産牛から採取したmorulastageの受精卵1個と, 8 cell stage卵1個を,それぞれ2頭のホルスタイン種未経産牛の子宮角に,特別に考案した牛用卵子移植器具を用いて,非手術的方法によって移植し,2頭とも受胎させることに成功した。そのうち1頭は妊娠80日で流産したが,他の1頭,すなわち,子宮洗滌によって非手術的に生体から採取した6日齢のmorula stageの受精卵を,自然発情における排卵後5日目に移植されたrecipient牛は,受精卵移植後268日目に正常な雄の子牛を分娩した。
生産された子牛は,血液型の判定によって,明らかに移植された受精卵から発育したものであることが立証された。

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