日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第97回日本薬理学会年会
セッションID: 97_2-B-AC
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会長講演
ウイルス感染に対する生体システムの作動原理の解明と新規治療戦略の確立
*今井 由美子
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抄録

COVID-19やインフルエンザが重症化すると、重篤な呼吸不全 (ARDS)や多臓器不全が引き起こされ。一方、急性期の症状が回復した後も、長期間複数臓器にまたがって罹患後症状(後遺症)が発症する。これらには、ウイルス側の因子に加え、ヒト側の遺伝的因子に加え、加齢や基礎疾患等に関係したエピジェネティックな因子が、多彩な病態の形成につながっていると考えられる。われわれは、感染患者から診療情報や検体を収集し、マルチモーダルな医療ビッグデータを生成し、これらを用いて重症化を予測可能な機会学習モデルを構築した。また培養細胞やマウスの感染系を用いた基礎的検討を通して、ウイルス感染に伴って後天的エピゲノム修飾状態がダイナミックに変化し、これが感染病態の形成に関わっていることを明らかにした。さらにフレイル、うつ、認知障害等の後遺症を起こすマウスモデルを樹立し、病態、創薬標的を同定した。今回、これらのウイルス感染に対する生体システムの作動原理、創薬の可能性について、われわれの知見を中心にお話したい。

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© 2023 本論文著者
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