日本薬理学雑誌
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Tazanolast(WP-833)代謝物の抗アレルギー作用
橋本 光正枝浪 謙一内藤 聡佐野 和珠伏見 弘子後藤 正義
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1990 年 95 巻 4 号 p. 159-166

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抄録

WP-833の代謝物である3'-(1H-tetrazol-5-y1)oxanilic acid(MTCC),3-(1H-tetrazol-5-yl)aniline(MTA)および3'-(1H-tetrazol-5-yl)acetanilide(MTAA)のラットおよびモルモットhomologous passive cutaneous anaphylaxis(PCA)および腹腔肥満細胞または肺切片からのhistamineあるいはSRS-A遊離におよぼす影響について検討した.MTCCはラットおよびモルモットhomologous PCA反応に対し,静脈内投与において用量依存的な抑制を示し,その抑制作用はWP-833とほぼ同程度であった.また,腹腔肥満細胞および肺切片からの抗原一抗体反応によるhistamineあるいはSRS-A遊離に対しても抑制作用を示し,その作用は,SRS-A遊離に対しより強かった.MTAおよびMTAAもラットおよびモルモットhomologous PCA反応抑制作用を示すものの,作用発現に要する用量はWP-833に比し高く,腹腔肥満細胞からの抗原-抗体反応によるhistamine遊離に対しても10-4g/mlと高濃度においてのみ抑制を示すY'とどまり,モルモット肺切片からのhistamineおよびSRS-A遊離に対しては明らかな抑制を示さなかった.よって,抗アレルギー作用発現にはoxanilic acid部が重要な役割を有することが推察された.また,MTCCは経口投与においてもラット48hr homologous PCAを抑制したが,WP-833と同等の効果発現に要する用量はWP-833の約6倍であり,WP-833の消化管からの吸収にbutyl ester部位が重要であることが示唆された.以上の結果より,MTCCはWP-833とほぼ同程度の活性を有しているが消化管からの吸収が悪いこと,MTAおよびMTAAの活性はWP-833に比し低いことが明らかとなった.また,WP-833経口投与時,血中ではMTA及びMTAAはごく少量しか検出されておらず,薬理効果は主としてMTCCによると推察された.

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