日本薬理学雑誌
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L-Cysteine ethylester hydrochloride の抗リウマチ作用
荒谷 秀和今吉 朋憲西田 ゆかり寺澤 道夫丸山 裕
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1988 年 92 巻 3 号 p. 167-174

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抄録

L-cysteine ethylester hydrochloride(ethylcysteine)は100mg/kg,p.o.で明らかなラットcollagen関節炎予防効果を示し,投与中断後もその作用は持続したが,用量依存性は認められなかった.一方,D-penicillamineは同条件下で抑制作用を示さなかった.cthylcysteineを治療的に投与した場合,300mg/kg,p.o.で関節炎を改善する傾向を示した.ラット carrageenin足浮腫,ラット48時間PCAおよびラット6時間,24時間 Evans blue-carrageenin胸膜炎のような急性炎症あるいはI型アレルギーモデルに対してethylcysteineは高用量でも抑制作用を示さなかった.in vitroにおいて,ethylcysteineはD-penicillamineと同様リウマチ因子陰性化作用,ヒトγ-globulin熱変性促進作用およびalkaline-phosphatase阻害作用を示した.以上,ethylcysteineはD-penicillamineと生化学的性質は類似するが,D-penlcillamineとは異なりラットcollagen関節炎を明らかに抑制することから,臨床においても抗リウマチ作用を示す可能性が期待される.

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