日本薬理学雑誌
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Streptozotocin糖尿マウスにおけるPentobarbitalの催眠作用と肝における代謝の変化について
藤井 恵美子塚原 富士子野本 照子
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1987 年 90 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

streptozotocin(STZ,170mg/kg,i.p.)投与後2,4,8週マウスにおけるpentobarbita1(Pento)による催眠作用と肝ミクロゾームにおける薬物代謝との関連性を明らかにする目的で本実験を行った.単位体重当りの肝重量は,STZ投与後いずれの週においても対照に比し増加した.Pento(60mg/kg,i.p.)の睡眠時間は,STZ投与後いずれの週においても短縮したが,Pentoの分解酵素活性(加藤らの方法,1964による)は4週まで増加,8週では低下した.phenobarbital(100mg/kg,s.c.)による肝の酵素誘導およびSKF525-A(10mg/kg,i.p.)による酵素阻害は,STZ糖尿マウスにおいても,対照群と同様に認められたが,薬物代謝酵素活性との関連は明らかではなくなった.nicotinamideの前処置は,STZ糖尿マウスでみられる高血糖とPentoによる睡眠時間の短縮を完全に抑制した.NPH-insulin処置は,STZ誘発による高血糖を部分的に抑制し,Pentoによる睡眠時間の短縮に影響を及ぼさなかった.以上の結果,STZ糖尿マウスにおけるPentoに対する反応性の低下は,高血糖状態のような肝の代謝異常に一部関与していることが示唆された.

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