原子間相互作用ポテンシャルに基づいて低分子のポリマーへの溶解度を効率よくシミュレーションする手法として,可塑化効果と膨潤効果を取り入れた新規なPressure Controlled Grand Canonical ensemble Monte Carlo(PC-GCMC)法を開発した.PC-GCMC法では,効果的な溶解サンプリングを実現するために,ペネトラントの収着とポリマー鎖の緩和を同時に行うµVT-CCB法を新たに提案し導入した.PC-GCMC法を用いてポリエチレン/ペネトラント系での溶解度計算を行い,実際の実験から得られる傾向と同様のヘンリー型およびフローリー型収着等温線を再現することができた.また,各ペネトラントの収着量の傾向,および収着に伴う膨潤率の傾向も実験結果と一致した.また,µVT-CCB法を行うことで計算効率がµVT-CCB法を行わない場合に比較して,とくに収着量が小さい場合には10倍以上になることを示した.以上より,PC-GCMC法を用いることでポリマーの可塑化効果と膨潤効果を考慮した溶解度が効率的に計算できることを明らかにした.