2003 年 29 巻 5 号 p. 589-595
石炭の産炭地は世界各地に広がっていて性状はまちまちであり,炭種のNOx濃度,燃焼効率などへの影響を精度良く把握して,環境対策をも考慮した炭種選定およびボイラの効率的運転を行うことが重要となる.そこで当研究所では,多炭種に適用できる燃焼特性予測技術の確立を目指した研究開発を推進している.
その1つに小型微粉炭燃焼炉(以下,小型燃焼炉と記載)を用いての微粉炭燃焼研究があり,多くの炭種について炉内での燃焼状態を解析して,火炉出口NOx濃度の予測を可能にする手法を見出すことを1つの目的としている.これまでに燃料比(固定炭素/揮発分),N分含有率の違う12炭種の石炭について燃焼試験を行ってきた.試験では,NOx生成特性を解析するために,炉内および炉出口での燃焼ガス成分の濃度を測定している.本報告では,特に石炭性状の火炉出口NOx濃度への影響について,簡単な統計処理による定量化を試みた結果を報告する.