1999 年 25 巻 3 号 p. 406-410
噴霧熱分解法によって生成される微粒子の形成機構の解明を目的として, 乾燥過程および熱分解反応過程において形成される乾燥微粒子と熱分解生成微粒子の外形および内部微細構造特性と原料水溶液濃度および炉内温度との相関性について検討を行った.その結果, 濃度1kmol・m-3の水溶液を用いた場合, 今回の実験範囲ではいずれの条件下においても生成されたジルコニア微粒子は比較的大きなものについては中空粒子となり, 濃度0.1kmol・m-3の水溶液を用いた場合は粒径に因らず中実粒子となることがSEM写真から明らかとなった.微細構造特性評価の結果から, 乾燥微粒子は水溶液濃度および装置設定温度に依らずノンポーラスとなり, 濃度0.1kmol・m-3の場合は熱分解過程においてメソ孔が形成され, 濃度1kmol・m-3の場合は装置設定温度の上昇に伴い熱分解生成微粒子が有する細孔はミクロ孔からメソ孔へと移行することが明らかとなった.