化学工学論文集
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石炭の迅速熱分解による有用化学物質の製造
三浦 孝一前 一広
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1994 年 20 巻 6 号 p. 733-746

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抄録

最近, 石炭の迅速熱分解は温和な反応条件下で有用化学物質を製造する方法として大きな注目を浴びている.本論文では, 石炭の迅速熱分解の特徴とそれに付随する問題を検討した.まず, 揮発分とタールの収率を支配する因子を明らかにするために, 昇温速度を始めとする操作条件の影響を検討した.次に, 迅速熱分解によってタールの収率が増加する機構をNiksaらの提出したモデルを参考に検討した.その結果, メタプラストと呼ばれるタール前駆体の量と非凝縮性ガスの生成速度が揮発分収率と密接に関係することを示した.また, 石炭の熱分解反応に対する一次反応モデルの適用性に関する議論に対する一見解を提示するとともに, 一次反応モデルから真の活性化エネルギーを決定できる手順を示した.さらに, 温和な条件下で熱分解を制御する目的で提案された方法を整理し, その概要を紹介した.最後に, 温和な反応条件下で揮発分, ベンゼン, トルエン, キシレンなどの収率を大幅に増加する目的で, 著者らが提案したいくつかの新しい熱分解法を紹介した.

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