日本化學雜誌
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硝酸イオンの新しい抽出吸光光度定量法
山本 勇麓岡本 信子峠 暎二
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1968 年 89 巻 4 号 p. 399-404

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抄録

水溶液中に微量の硝酸イオソが存在するとき,ネオクプロイソ-銅(I)キレート陽イオンは硝酸イオンとともにメチルイソプチルケトソに抽出されることを見いだした。このとき,有機相の橙黄色(吸収極大456mμ)の強度が水相中の硝酸イオンの濃度に比例することがわかったので,この現象に基づいて硝酸イオンの新しい抽出比色定量法を研究した。基礎的諸条件を検討した結果,pH5.5~6.5の範囲で抽出を行なえば,硝酸イオンの濃度10-6~10-5mol/lの範囲でBeerの法則にしたがうことがわかった。さらに,この方法を諸種の試料について既知のフェノールジスルホン酸法と比較検討したところ,本法は硝酸イオンに対する感度がフェノールジスルホン酸法の約5倍であり,亜硝酸や塩素イオンの共存の影響も少ない点がすぐれていることがわかった。亜硝酸や塩素イオソが大過剰に共存するときはかなりな誤差を与えるので,その除去法についても種々検討した。その結果確立された最適条件で河川水などの実試料の分析について適用したところよい結果を得たので報告する。

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