1966 年 87 巻 9 号 p. 926-929,A52
シアノコバルト(II)錯体は水溶液相で[Co(CN)5]3-:CO2=2:1の化学量論を満足して炭酸ガスと定量的に反応する。得られた錯体は徐々に水素を発生してK6[Co2(CN)10CO3]を生成する。この発生期の水素を用いてのブタジエンの水素化反応においてl-ブテン,trans-2-ブテンおよび cis-2-ブテンが生成しブタンは生成しないことが見いだされた。このような水素化選択性は見かけ上既報の水素ガス存在下シアノコバルト(II)錯体によるブタジエンの触媒的水素化と類似しているが,機構的には異なっていると思われる。ずなわち水素化はこの場合,炭酸の水素が関与すると考えられる。pHの変化依存性および炭酸水素カリウム,炭酸カリウムの添加の選択性への影響について簡単に検討した。
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