日本化學雜誌
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タングステン酸ゾルの調製法とその性質
古沢 邦夫蓮 精
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1966 年 87 巻 2 号 p. 118-123,A7

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抄録

タングステン酸ゾル(H2WO4)の性質を調べた。ゾルはZocherの方法により10℃から30℃の間の種々な熟成温度で調製され,つねに単分散に近いものであった。粒子は非常に薄い紡錘形の板状で長さは3~4μ,幅は1.5~2μであった。厚さはMetalshadowing法により電子顕微鏡で約670Aと決定された。電気泳動速度は高培率の金属顕微鏡で観察する際の便宜のために,厚さ0.14mmのミクロセルの中で測定された。粒子は負に帯電しpH値および電気伝導度がそれぞれ5.4,1×10-5Ω-1のときζ-ポテンシャルは-80mVであった。このpHのもとではゾルは非常に安定で電解質の添加により生じる凝集はつねに可逆的であった。すなわち傾潟による洗浄で簡単に再分散した。この再分散の容易さは粒子間の相互作用ポテンシャル曲線の,いわゆる第二極小によるとして説明された。

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