1964 年 85 巻 1 号 p. 32-36,A2
希硝酸溶液中で,チオシアン酸鉄(III)イオンの橙色は微量の亜硝酸イオンの共存下で,微壁のヨウ素イオンによって接触的に退色速度が促進される。この反応を用いて,きわめて微量のヨウ素イオンを定量する方法を確立した。試料溶液10mlに,チオシアン酸カリウムについて5×10-3mol/l,亜硝酸ナトリウムについて7×10-4mol/lの混合試薬1mlと,6gの鉄ミョウバンを7Nの硝酸100mlに溶かした試薬2mlを加えて,一定温度で一定時間反応させ,そのときの溶液の吸光度を460mμの波擾で測定する。ヨウ素,ヨウ素酸イオンおよび過ヨウ素酸イオンもヨウ素イオンと同じようにこの接触反応を用いて定量できるが,その酸化状態によって多少異なった現象を示す。温度と反応時間を適当に変えることによって,0.001~10ppmのヨウ素イオンが正確に定量できる。また共存イオンの影響についても検討を行なった。
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