1963 年 84 巻 3 号 p. 279-281,A19
ヒドロキノンまたはベンゾ-p-キノンとピロガロールの酸化縮合で得られた黒赤色結晶(1)は,性質,分析値などからベンゾトロボロン構造をもつと推定されたが,この構造を確立するために別途合成を試みた。ヒドロキノンジメチルエーテルと無水グルタル酸からジメトキシベンゾシクロヘプテンジオン(VIII)を合成した。冊の脱水素を常法にしたがい,臭素を用いて行なうと臭素化されたジオキベンゾトロポロンモノメチルエーテルが得られた。この臭素はベンゼン核に入るらしく,脱臭素することができなかった。吸収スペクトルをIと比較した結果,類似の構造を有することがわかり,Iもベンゾトロポロン構造を有することがいっそう確かめられた。
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