1962 年 83 巻 7 号 p. 847-850,A5
光学活性γ-オキシ-γ-フェニルバレリアン酸(I)を種々のパラジウム濃度のパラジウム-炭-Aで水素化分解すると,つねに94%以上の光学活性を保持し,しかも同一の立体配置のγ-フェニルバレリアン酸(III)を得たことからIはその触媒のいかんを問わず立体特異的にSNi型で進行することを確認した。またIの安息香酸エステルを同様に種々の濃度のパラジウム-炭-Aおよびパラジウム-炭-Bで水素化分解すると,そのパラジウムの濃度が増大するにしたがってその光学活性保持率が減少することから,この場合は触媒面の表面状態の変化とともに二面吸着の可能性が増加するので,ある程度のSN2型反応が起るためと結論した。
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