日本化學雜誌
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4-オキソ4-メチル-1-ジクロルメチル-1,4-ジヒドロナフタリンおよび 2-オキソ-1-メチル-1-ジクロルメチル-1,2-ジヒドロナフタリンの接触還元
磯貝 浩司
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1961 年 82 巻 9 号 p. 1241-1243

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抄録

4-オキソ4-メチル-1-ジクロルメチル-1,4-ジヒドロナフタリン(I) および 2-オキソ-1-メチル-1-ジクロルメチル-1,2-ジヒドロナフタリン(V) を,エタノール中,パラジウム炭触媒を用いて常温常圧で接触還元した。 I から Δ2 の二重結合と C=Oが水素添加された 4-オキシ-1-メチル-1-ジクロルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタリン(II) を得たが,V からはΔ3 の二重結合のみが水素添加された 2-オキソ1-メチル-1-ジクロルメチル-1,2,3,4-テトラヒド9ナフタリン(VI) を得た。II および VI を 10% 水酸化カリウム-メタノ-ル溶液中,多量のパラジウム炭触媒を用いて常温常圧で接触還元し,それぞれから脱塩素された生成物,4-オキシ-1,1-ジメチル-1,,2,3,4-テトラヒドロナフタリン(III) および 2-オキソ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタリン(VII) を得た。また VI をエタノール中,ラネーニッケル触媒を用いて常温常圧で接触還元したときも VII が得られ,ジクロルメチル基のオルト位に C=O をもつ V, VI の C=O は水素添加されにくかった。これは,立体構造上,吸着のさいに C=0 が触媒から離れるためと考えられる。またベンゼン環はピリジン環と同様に吸着して電子を吸引し C=0 の水素添加, CIの水素化分解を助長する。

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