日本化學雜誌
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マメタ二シの脂質
三橋 達雄
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1961 年 82 巻 4 号 p. 465-469

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抄録

2月(2例)および9月(1例)にほぼ同一場所から採集したマメタニシについて,それらの脂質の性状,脂肪酸成分および不ケン化物成分を検索し,あわせてそれらの採集時期の相違による消長をみた。脂質含有率は乾燥物(殼を含まず)の5.9~7.8%,脂質のケン化価は151.2~156.3で,それぞれ9月に得たものの方が大である。脂質のヨウ素価は55.2~71 .5,脂質の不ケン化物含有率は14.5~16.7%で,ともに2月に得たものの方が大である。全脂肪酸のヨウ素価は52.1-62.7で2月に得たも一のの方が大きく,その固体酸含有率は40.2~48.6%で9月に得たものの方が多い。飽和酸は2月および9月に得た試料のいずれからもパルミチン酸が得られた。不飽和酸は9月に得た1試料の場合,オレイン酸が確認され,その他G16ジエン酸,トリエン酸の少量からなり, テトラエン酸以上の不飽和酸も微量ながら存在する。不ケン化物のヨウ素価は72.6~82.5,ステリン含有率は62.8~65.5%でともに2月に得たものの方が大きく,Δ5.7ステリン含有率は3.8~4.2%で9月に得たものの方が大である。主ステリンはコレステリンおよびβ-シトステリンと考えられるが,β-シトステリンは確実ではない。また不ケン化物中にβ-カロチンと考えられるmp182°~183℃の赤色針状結晶が得られた。

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