日本化學雜誌
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エナントニトリルおよびヘキサヒドロベンゾニトリルの接触的水素化 ω-フェニル脂肪族ニトリルの'接触的水素化接触的水素化による分子の開裂に関する研究(第29報)
田中 英
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1961 年 82 巻 2 号 p. 242-245

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抄録

ケイソウ土つきニッケル-銅混合触媒を用いてω -フェニル脂肪族ニトリルC6H5(n=1~4)の気相接触的水素化反応を行ない,これら4種のニトリルはいずれもほぼ共通の反応性をもつことがわかった。(i)250℃付近の水素化では主反応はC≡N結合の開裂反応であり(収率:58~76%)シアン基の離脱反応がかなりともなう(収率:18~19%)・(ii)300~350℃付近ではシアン基の離脱反応が主反応になり,C≡N結合の開裂反応が少し起る。(iii)n=2,3,4のニトリルでは主反応のほかに,わずかながら側鎖の各炭素間結合の切断反応が起る。しかし芳香環とα一炭素との間の結合の切断は認められない。(iv)いずれの実験でも,アミン類の生成はごくわずかにすぎない。以上の結果を芳香族ニトリル,脂肪族ニトリルの水素化結果と比較することにより,芳香環側鎖のα-,β-,γ-およびδ-位置に結合したシアン基は芳香族ニトリルに類似した反応牲を示すことが明らかになった。

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© The Chemical Society of Japan
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