1960 年 81 巻 2 号 p. 282-286
ケイソウ土つきニッケル-銅混合触媒を用いてケイ皮酸ニトリルおよび β-フェニルプロピオニトリルの気相接触的水素化反応を行ない, 芳香環側鎖の β-炭素に結合したシアン基の反応の状況ならびにエチレン結合とシアン基の競争反応を比較検討した。その結果は, ケイ皮酸ニトリルも β-フェニルプロピオニトリルもいずれも, 260℃付近では円滑に水素化開裂反応が行なわれて 80% 以上の n-プロピルベンゼンを生ずるが, 反応温度が高くなるにしたがってシアン基の離脱反応が急速に増加し, 350℃付近では約 70% のエチルベンゼンを生成する。ケイ皮酸ニトリルは主としてまずエチレン結合が還元されて β-フェニルプロピオニトリルになり, ついで十分な反応条件のもとで第二段階の反応が起ってシアン基の還元が行なわれる。ベンゼン環と共役のエチレン結合は高温 (350℃付近)でわずかながらシアン基の水素化反応を促進する傾向を示す。芳香環側鎖の β-炭素に結合したシアン基は芳香族ニトリルに類似した反応性を示す, ことが認められた。
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